このマニュアルについて
本書は、Web サイトの更新作業を AI コーディングエージェント(Claude Code)とともに進めるための手順書である。読み終えた時点で、担当者が一人で「何を、どの順番で、どこまで確認して公開するか」を判断できる状態を目指す。
本書のゴール
AI を導入したという事実ではなく、次の状態が実現されているかで達成を判断する。
- 更新作業の手順が固定され、担当者が変わっても同じ品質で運用できる
- 公開前に、変更した内容と変更していない内容を自分の言葉で説明できる
- 問題が起きたとき、公開前の状態へ確実に戻せる
- 認証情報や個人情報を AI に渡さない運用が守られている
- 迷ったときに作業を止める判断基準が、頭の中ではなく本書にある
対象読者と前提
クライアント側の Web 担当者を対象とする。HTML と CSS の内容が読め、FTP クライアントでファイルをやり取りした経験があることを前提とする。プログラミングの実務経験は前提としない。
| 項目 | 対象 | 対象外 |
|---|---|---|
| サイトの種類 | 静的 HTML サイト。.html と、そこから参照される CSS・JavaScript・画像をファイルとしてダウンロードできるもの | WordPress などの CMS。ログインが必要な会員向けページ |
| 更新手段 | FTP / FTPS / SFTP によるファイル転送 | Git / GitHub によるデプロイ、CI/CD |
| 作業の種類 | 文言修正、画像差し替え、リンク変更、エリアの追加・削除、見た目の調整、SP 表示の修正 | サイト全体のリニューアル、新規サイト構築、サーバー移転 |
| AI の役割 | 調査、計画、実装、コード評価、品質チェック | 差分の判断、公開の可否判断、サーバーへの接続、ファイルの送受信 |
対象ファイルの名前は、案件ごとに違う
更新するページのファイル名は index.html とは限らない。本書の手順は、どのファイル名でもそのまま使える。
| ファイル名の例 | 想定される用途 |
|---|---|
index.html | ディレクトリのトップページ |
article.html | 記事・詳細ページ |
20260901.html | 日付をファイル名に持つお知らせページ |
campaign_autumn.html | 期間限定ページ |
以降、対象ファイルを article.html として例示する。実際の作業では、依頼で指定された実ファイル名に読み替える。「{対象ファイル名}」と書いてある箇所は、そのファイル名が入る。
CMS では、画面を構成する情報がソースコードだけで完結しない。テンプレート・テーマ・プラグインに加えて、CMS の設定、データベースの中身、URL や投稿種別、実行時の条件が組み合わさって HTML が出力される。出力された HTML から CSS や JavaScript は追跡できても、どのテンプレートとどの設定から生成されたかまでは特定できない場合がある。修正対象を取り違える危険が静的サイトより高いため、まず静的サイトで運用を確立する。
本書が定めないこと
運用の全体像
この章では、誰が何を担当し、どこで手が止まるのかを先に確定する。手順の細部は第5章で扱う。
3つの役割を、一人が切り替える
制作会社の体制では、要件を決める人(ディレクター)と実装する人(エンジニア)が分かれている。互いの成果物を見合うことで、思い込みや見落としが公開前に止まる。内製化では、この2つを同じ人が担う。役割が消えるのではなく、一人の中で切り替わる。
- あなた(担当者)
- Claude Code
- 比較ツール・FTP・ブラウザ
- 承認
- 役割A 依頼する自分 何を変え、何を変えないか、どうなったら完成かを、作業を始める前に文章にする。
- 役割B 実装する自分 依頼書だけを見て作業する。作業中に「やっぱりこうしたい」と思ったら、実装を止めて役割Aに戻る。
- 役割C 承認する自分 チェックリストを通す 依頼書とチェックリストだけを持って、完成物を見る。原則は実装した日と別の日に見るが、緊急の更新では当日でもよい。日を分けない場合こそ、チェックリストを飛ばさない。
一人運用の弱点と、本書の対処
同じ人が三度見ても、同じ見落としを三度する。他人の目の代わりになるのは、観点と道具を変えることと、間違えても戻せる状態にしておくことである。本書は次の3つでこれを補う。
同時作業に気づく仕組み
更新版ファイルの名前に公開予定日が入るため、サーバーのファイル一覧が、そのまま作業状況の表示になる。
作業を始める前に、フォルダの一覧を見る
自分が作成していない未来日付の更新版ファイルがあれば、他の担当者が同じページを更新しようとしている。そのまま進めると、公開時にお互いの変更を上書きで消し合う。作業を止めて、誰が何をしているかを確認する。
Claude Code の位置づけ
Claude Code は、調査・計画・実装・コード評価・品質チェックを担当する。差分の説明はさせない。変更内容の判断は、比較ツールを使って人が行う(5-9)。
| 担当 | やること | 最終的に判断すること |
|---|---|---|
| あなた | 要件の確定、AI への指示、差分の確認、STG と本番へのアップロード、公開の承認 | 何を変えるか。技術的に問題がないか。公開してよいか |
| Claude Code | ファイルの調査、ルールの抽出、実装計画、実装、コード評価、Playwright での表示・動作確認 | 判断しない。根拠と結果を提示するところまで |
| 道具 | 比較ツールでの差分取得、FTP でのダウンロードとアップロード、ブラウザでの確認 | 判断しない。人が操作する |
全体フロー
更新作業は4つの段階に分かれる。段階の境目には、必ず人が止まって確認する地点がある。
-
Ⅰ
準備
依頼内容を確定する → STG サーバーから対象ファイルをダウンロードする → 更新版ファイル
article_20260901.htmlを作る - Ⅱ 調査と計画 参照ファイルを集める → コードからルールを抽出する → 依頼を解析して実装計画を作る
- ◆ 計画の承認 止まる 何を変え、何を変えないかが計画に書かれているか。承認するまで、AI はファイルを変更しない。
- Ⅲ 実装と確認 実装する → コードを評価する → Playwright で表示と動作を確認する → STG へアップロードして自分の目で見る → 比較ツールで差分を確認する
- ◆ 公開の承認 止まる 完了条件をすべて満たしているか。依頼していない変更が混ざっていないか。
- Ⅳ 公開 公開日前日にローカルでリネームする → 公開当日にアップロードする → 公開後確認
「このページの文言を直して」と一息に頼むと、AI は関連ファイルを見落としたまま実装を始める。調査・計画・実装を分ける目的は、実装前に誤解・ファイルの漏れ・既存ルールとの食い違いを見つけることにある。調査が終わっていない状態で計画へ進まない。計画が承認されていない状態で実装へ進まない。
環境を準備する
この章の作業は、サイトごとに一度だけ行う。ここで作るルール文書が、以後すべての更新作業の土台になる。
用意するもの
| 道具 | 用途 | 補足 |
|---|---|---|
| Claude Code | 調査・計画・実装・コード評価・品質チェック | ターミナルで動く。導入手順は本書の範囲外 |
| FTP クライアント | STG・本番サーバーとのダウンロードとアップロード | WinSCP、FileZilla など。サーバー接続は必ず人が行う |
| 差分比較ツール | 修正前後のファイルを1行ずつ比較する | WinMerge(Windows)、FileMerge・Kaleidoscope(Mac)、VS Code の「選択項目を比較」など。5-9 で必ず使う |
| Playwright | Claude Code が実際のブラウザを操作して、表示と動作を確認する | 5-7 の品質チェックで使う。導入だけは制作会社に依頼してもよい |
| テキストエディタ | ルール文書の確認・修正 | VS Code など |
| ブラウザ | STG での表示確認 | 案件で指定された対象ブラウザをすべて用意する |
フォルダを作る
サイトごとに作業用フォルダを1つ作る。この中だけで作業し、Claude Code にもこのフォルダだけを見せる。
project-folder/
├── CLAUDE.md ← 毎回守るルール(AIが最初に読む)
├── docs/
│ ├── ARCHITECTURE.md ← 技術的な決まりごと
│ ├── DESIGN.md ← 見た目の決まりごと
│ ├── SPEC.md ← このサイトの機能・挙動
│ ├── TASK.md ← 今回の依頼と実装計画(案件ごとに書き換える)
│ ├── CODE-REVIEW.md ← /code-review の報告書(AIが生成・上書き)
│ └── QUALITY-CHECK.md ← /quality-check の報告書(AIが生成・上書き)
├── refs/ ← 依頼資料のPDFなどを置く
└── ssl_htdocs/ ← サーバーからダウンロードしたファイル一式
└── example-folder/
├── article.html
└── article_20260901.html
ssl_htdocs は SSL 対応のドキュメントルートを想定した名前である。契約しているサーバーの構成に合わせて読み替えてよいが、プロジェクト内では統一する。
docs フォルダに置く文書
同じ注意を毎回プロンプトへ書くのではなく、適用範囲に応じて保存先を決める。上の階層ほど変わりにくい。
| ファイル | 書くこと | 種別と更新 |
|---|---|---|
CLAUDE.md | プロジェクトで常に守る入口のルール。参照するルール文書、禁止事項、標準の流れ、承認が必要な地点 | ルール/ほとんど変わらない |
docs/ARCHITECTURE.md | 技術標準、ディレクトリ構成、ファイルの役割、HTML・CSS・JavaScript の書き方、命名規則、パスの指定方法、読み込み関係 | ルール/サイト改修のとき |
docs/DESIGN.md | 色、フォント、文字サイズ、余白、UI 部品、ブレークポイント、レスポンシブの方針 | ルール/デザイン変更のとき |
docs/SPEC.md | 確認済みの機能要件、コードから確認した現在の挙動、判断できない仕様、維持すべき挙動 | ルール/機能追加のとき |
docs/TASK.md | 今回の依頼、参照した資料、要件、完了条件、不明点、禁止事項、公開予定日、対象ファイル名、変更予定ファイル、実装手順、確認方法、戻し方 | 案件ごと/あなたが承認する |
docs/CODE-REVIEW.md | /code-review の報告書。対象ファイル、指摘(ファイル・行・分類・根拠・修正案)、対応の要否とその理由 | 報告書/AIが生成・上書き |
docs/QUALITY-CHECK.md | /quality-check の報告書。確認項目ごとの結果、失敗の内容、ツール不足で未実施の項目 | 報告書/AIが生成・上書き |
docs/SPEC.md の注意
コードから読み取れるのは「現在そう動いている」という事実であって、「そう動くのが正しい」という要件ではない。両者を混ぜると、実はバグだった挙動を仕様として守り続けることになる。確認済みの要件・現在の挙動・判断できない仕様を分けて書く。
ルール文書は、コードから作る
ESLint や Prettier のような設定ファイルは、既存の制作物には無いことが多い。そこで、収集したファイルの実際の書き方からルールを抽出する。手順は 5-4 で扱う。ここでは、抽出結果に必ず確度が付くことだけ押さえておく。
| 確度 | 意味 | 扱い |
|---|---|---|
| 確定 | 設定ファイルや資料に明記されている | そのまま従う |
| 推定 | 複数の関連ファイルで一貫している | 従う。ただし例外の有無を確認する |
| 混在 | 複数の書き方があり、1つに決められない | あなたが決める。決めた内容を文書へ書く |
| デフォルト | コードから特定できず、標準ルールを当てた | 新規・変更する範囲だけに適用する |
| 要確認 | 公開環境や要件が分からないと安全に決められない | 作業を止める。推測で進めない |
コードから決められないときのデフォルト
| 分類 | デフォルト |
|---|---|
| 共通 | 文字コード UTF-8、改行コード LF、ファイル末尾に改行、インデントは半角スペース2個 |
| HTML | 現在有効な要素・属性を使い、意味に合う要素を選ぶ。属性値はダブルクォートで囲む |
| CSS | 安定して使える機能のみ。実験的な機能や、不要な !important を追加しない |
| JavaScript | const を基本とし、再代入が必要なときだけ let。var は新規に追加しない |
| class 名 | 特定できない場合は小文字の kebab-case(main-visual など) |
| 既存コード | 変更する箇所の周辺の書き方に合わせる。ファイル全体を自動整形しない |
| パス | デフォルトを設けない。公開場所によって正解が変わるため、特定できない場合は「要確認」として止める |
技術標準の決め方
「常に最新の技術を使う」という決め方をしない。既存サイトでは、最新であることより対象ブラウザで確実に動くことが優先される。
- HTML は、現在有効な要素・属性を使う。非推奨の要素・属性を新しく追加しない
- CSS は、対象ブラウザで安定して使える機能を使う
- JavaScript は、既存コード・対応ブラウザで動く書き方を使う
- 実験的な機能は、明示的に決めない限り使わない
- 修正と関係のない既存コードを、まとめて新しい書き方に直さない
CLAUDE.md の中身
そのまま貼って使える。サイトの事情に合わせて足し引きする。
# 制作ルール
## 進め方
- 実装計画の前に、リソース収集を完了する
- リソース収集がBLOCKEDの場合は実装へ進まない
- docs/ARCHITECTURE.md、docs/DESIGN.md、docs/SPEC.md を確認する
- ルール文書が揃った後、実装計画時に依頼内容と指定フォルダ内のPDFを確認する
- 依頼から読み取れない点があれば、推測せず質問する
- 参照したPDFのファイル名を docs/TASK.md へ記録する
- 計画が承認されるまでファイルを変更しない
- 承認後、実装してよいか確認する
## 変更の範囲
- コードから抽出した承認済みルールを優先する
- 判断できない項目には、定義済みのデフォルトルールを限定的に適用する
- 依頼されていない箇所を変更しない
- 不要なリファクタリングを行わない
- 既存の class 名を不用意に変更しない
- 変更理由のないコメントアウトを残さない
## 変更してよいのは、変更する行だけ
- ファイル全体の自動整形を行わない
- インデント、改行位置、行末の空白を変更しない
- 改行コード(CRLF/LF)と文字コードを変更しない
- 属性の並び順や引用符を書き換えない
- 既存のコメントを削除しない
- 「使われていない」と判断したコードを勝手に削除しない
- 相対パスと絶対パスを勝手に変換しない
- 依頼と無関係な不具合を見つけても、直さずに報告する
## 確認
- PCとSPの両方への影響を確認する
- 表示と動作は Playwright で実際のブラウザを操作して確認する
- 実行できた確認と、できなかった確認を分けて報告する
## 報告書の出力先
- /code-review の結果は docs/CODE-REVIEW.md へ書き出す
- /quality-check の結果は docs/QUALITY-CHECK.md へ書き出す
- 報告書は案件ごとに上書きする。日付を付けて増やさない
- 指示のないドキュメントを docs 配下へ作らない
## 禁止
- 差分を要約しない。差分の確認は人が比較ツールで行う
- サーバーへ接続しない。ファイルをダウンロード・アップロードしない
- 機密情報をコード、ログ、回答へ出力しない
- 公開の可否を判断しない
Skill は、繰り返した作業から作る
Skill は、何度も行う作業の手順を固定するしくみである。想定だけで増やさず、実際に2回以上繰り返した作業から順に作る。本書では次の名前で参照する。
| Skill | 使うタイミング | させること | 結果の出力先 |
|---|---|---|---|
/scan-file-resources | リソース収集 | 起点HTMLから参照をたどり、足りないファイルを報告する。ダウンロード後に再実行して完了を判定する | チャットで報告 |
/derive-project-rules | リソース収集の後 | ファイル群からルールを抽出し、根拠・確度・例外・デフォルト適用箇所を示す | docs/ARCHITECTURE.md ほか2件 |
/plan-change | ルール文書が揃った後 | 依頼と資料を解析し、docs/TASK.md に実装計画をまとめる。不明点は質問する | docs/TASK.md |
/code-review | 実装の後 | 非推奨の構文やセキュリティ上好ましくない書き方など、コードの質を評価する | docs/CODE-REVIEW.md |
/quality-check | STG へ上げる前 | 構文、リンク切れ、表示崩れ、機能動作、ページ内テキストの矛盾を Playwright などで確認する | docs/QUALITY-CHECK.md |
/release-check | 公開の前 | アップロード対象ファイル、確認結果、注意点、戻し方を整理する | チャットで報告 |
実装は、承認済みの docs/TASK.md とプロジェクトルールを入力として行う。専用の Skill を挟まない分、何を根拠に実装したのかが1か所に集まる。差分の確認と、指摘への対応にも Skill を設けない。差分は人が比較ツールで見る。指摘は資料として受け取り、通常の依頼と同じ流れで処理する。
頻度の高い変更については、その作業固有の確認項目を Skill にまとめておくと見落としが減る。/replace-text(文言)、/replace-image(画像。形式・寸法・容量・alt・PC/SP出し分け)、/update-link(リンク切れ・別タブ)、/add-section・/remove-section(エリアの増減)、/update-css(詳細度・既存画面への影響)、/responsive-fix(ブレークポイント)、/update-meta(title・description)、/update-script(初期化・イベント・コンソールエラー)、/bulk-update(一括変更の対象一覧と戻し方)。
Skill を作るときの原則
- 1つの Skill に複数の目的を詰め込まない
- 読み取りだけの工程と、ファイルを変更する工程を分ける
- 必要な入力と、期待する出力の形式を明記する
- やってよい操作と、禁止する操作を明記する
- 判断できないときに止まる条件を明記する
- 完了条件と、その確かめ方をセットで書く
- プロジェクト固有のルールは Skill に重複させず、
CLAUDE.mdを参照させる - 実際に起きた失敗や手戻りをもとに更新する
準備完了チェック
安全のための決まり
この章の内容は、作業の速さより優先される。ここを崩すと、効率化で得た時間はすべて事故対応で消える。
権限の考え方
AI が技術的に実行できるかではなく、失敗したときの影響と、元に戻せるかどうかで、承認の要否を決める。
| 原則 | 具体的にすること |
|---|---|
| 最小権限 | 作業に必要なフォルダだけを AI に見せる。他の業務フォルダや個人フォルダを同じ場所に置かない |
| 影響範囲の限定 | 書き込み先を作業フォルダに限る。本番の認証情報を AI が読める場所に置かない |
| 取り消し可能性 | 現行ファイルを公開日前日まで残す。戻す手順を先に用意する |
| 実行前の確認 | 何を変更し、どこへ影響するかを、実際の差分で確認できる状態にする |
| 人が判断する | 差分の確認と公開の可否は、AI の説明ではなく人の目で決める |
操作別の承認基準
| 操作 | 方針 | 条件 |
|---|---|---|
| ファイルを読む | そのまま任せてよい | 読み取り範囲に機密情報が含まれないこと |
| ファイルを変更する | 作業フォルダ内なら任せてよい | 変更後に差分を確認できること |
| ファイルを削除する | 承認が必要 | 対象を明示し、復元方法があること |
| コマンドを実行する | コマンドごとに判断 | 影響範囲が分からないコマンドを許可しない |
| ブラウザを操作する | Playwright での確認は任せてよい | 操作対象が STG または手元のファイルであること |
| サーバーへ接続する | AI には行わせない | FTP クライアントで人が操作する |
| STG へアップロードする | 人が行う | アップロード対象のファイル一覧を先に確認する |
| 本番へアップロードする | 人が行う。差分確認と承認が前提 | 公開承認、差分確認、戻し方の用意がそろっていること |
| 外部へ送信する | 承認が必要 | 宛先、本文、添付を確認する |
絶対に書かない情報
次の情報は、ソースコード・CLAUDE.md・Skill・docs/TASK.md・AI への指示文のどこにも書かない。FTP クライアントの接続設定の中だけに置く。
- FTP / FTPS / SFTP の接続先ホスト名、ユーザー名、パスワード、秘密鍵
- CMS や管理画面のログイン情報
- API キー、アクセストークン、
.envの中身 - 顧客・従業員の個人情報
- 契約書、見積書、未公開の情報
削除しただけでは終わらない。そのパスワードやキーを失効させて再発行する。会話ログやファイルに残った痕跡も消す。テスト環境と本番環境の認証情報を分けておくと、事故のときに被害が本番へ届かない。
資料を AI に読ませるときの注意
依頼書の PDF、Web ページ、メールなど、外部から来た文章の中に AI への命令文が紛れていることがある。AI がそれを指示として実行してしまう現象を、プロンプトインジェクションと呼ぶ。
- 外部の文章に書かれた操作命令を、そのまま実行させない。あくまで参考情報として扱う
- 読ませる資料は、自分が中身を確認したものに限る
- 資料を読む工程と、ファイルを変更する工程を分ける(本書の 5-5 と 5-6 がこれにあたる)
- 削除・送信・公開の前には、必ず人の確認を挟む
作業を止めて確認する条件
次に当てはまったら、Claude Code は推測で進めず、あなたに確認する。あなた自身も、次に当てはまったら手を止める。
対象が定まらない
- 対象ページや対象ファイルを1つに特定できない
- 本番サーバー、リモートパス、アップロード対象を1つに特定できない
- パスの解決基準や、公開される場所が分からない
ファイルが揃っていない
- 参照されているローカルファイルの一部が見つからない
- リソース収集が
BLOCKEDで終わった
情報が食い違っている
- 公開予定日と更新版ファイルの日付が一致しない
- 対象フォルダに、心当たりのない未来日付の更新版ファイルがある
- 依頼内容から要件、完了条件、対象範囲を読み取れない
- 依頼内容、資料、ルール文書のあいだに矛盾がある
- 指定された PDF が読めない、暗号化されている、内容を正確に判別できない
- コード内のルールが混在していて、安全に1つへ決められない
影響が想定を超えた
- 計画に含まれていないファイルの変更が必要になった
- 共通テンプレートなど、影響範囲が想定より広いと分かった
- 指示どおりに実装すると、既存の機能を壊す可能性が高い
- デフォルトルールでは、対応ブラウザや既存機能を維持できない可能性がある
安全に関わる
- API キー、パスワード、個人情報などの機密情報を見つけた
- 削除、外部送信、STG・本番へのアップロードなど、承認が必要な操作へ進む
- チェックが失敗し、原因を安全に特定できない
止まって確認する時間は数分から数時間。公開後に間違いが見つかったときの対応は、それより桁違いに長い。判断できない状態のまま進めないことが、一人運用における最大の安全装置である。
制作から公開までの手順
ここからが日々の作業である。12 のステップを順に行う。各ステップは「やること/手順/確認すること」の同じ構成になっている。
1回目は通しで読む。2回目以降は、いま自分がいるステップだけを開いて確認する。ステップを飛ばさない。飛ばしたくなったときは、たいてい前のステップが終わっていない。
依頼を確定する
やること:作業を始める前に、変更内容・変更しないもの・完了条件を文章にする。これが後で自分を採点する基準になる。
- 依頼元に、対象 URL・対象ファイル名・変更内容・支給データ・公開希望日を確認する
- 制作依頼テンプレートを埋める。埋まらない欄があれば、それが不明点である
- 不明点を依頼元に確認し、回答を依頼書へ書き足す
- 完了条件を、見れば判定できる形で書く(例:「PC と SP の表示文言が『資料請求』になっている」)
- 依頼資料の PDF を
refs/フォルダへ置く
「きれいに直す」「違和感がないようにする」は完了条件にならない。判定できないものは、後から自分で判断が揺れる。できたかどうかを、他人が見ても同じ答えになる文にする。
確認すること
ファイルをダウンロードし、更新版ファイルを作る
やること:STG サーバーから更新前のファイルをダウンロードし、編集用の複製「更新版ファイル」を作る。ダウンロードした現行ファイルは、公開日前日まで一切編集しない。
3つのファイルの呼び分け
| 呼び名 | ファイル名の形 | 役割 |
|---|---|---|
| 現行ファイル | article.html | STG からダウンロードした更新前のファイル。公開日前日のリネームまで編集しない |
| 更新版ファイル | article_20260901.html | 公開予定日を名前に持つ、制作・確認用のファイル。実際に編集するのはこれ |
| 復元用ファイル | article_bk_20260901.html | 公開日前日のリネームで、現行ファイルを退避したもの。戻すときに使う |
{対象ファイル名}_{公開予定日}.html ← 更新版ファイル
{対象ファイル名}_bk_{公開予定日}.html ← 復元用ファイル
対象ファイルが 20260901.html で、公開予定日が 2026年9月15日なら、更新版ファイルは 20260901_20260915.html になる。前が元のファイル名、後ろが公開予定日である。
手順
- 依頼書で、対象ページ・対象ファイル名・STG サーバー・STG リモートパス・公開予定日を確認する
- FTP クライアントの接続先がSTG サーバーであることを確認する
- 対象フォルダの一覧を見て、自分が作成していない未来日付の更新版ファイルがないか確認する
- 対象フォルダから現行ファイルをローカルへダウンロードする
- ローカルの現行ファイルを同じフォルダ内にコピーする
- コピーしたファイルの名前を
{対象ファイル名}_{公開予定日}.htmlに変える。日付は公開予定日を西暦8桁で書く - 公開予定日とファイル名の日付が一致していることを確認する
- CSS・JavaScript も変更する予定があれば、ダウンロード直後に控えを別フォルダへ取る(5-9 の比較で使う)
- 以降の作業は、すべて更新版ファイルを起点に行う
公開予定日が変わった場合は、更新版ファイルの名前と docs/TASK.md を新しい日付へ更新する。古い日付のファイルを残したままにしない。
確認すること
参照ファイルを集める
やること:更新版ファイルから参照されているファイルを、たどれる限りすべて手元に揃える。
サイト内の全ファイルを集めることではない。指定した起点 HTML から参照をたどれるローカルファイルをすべて調べ、未調査のものがなくなった状態を指す。関係のないページまで集める必要はない。
何をたどるのか
| ファイル | 調べる参照 |
|---|---|
| HTML | link[href]、script[src]、img[src]、srcset、source[src]、video[poster] など |
| CSS | @import、url() で参照される CSS・画像・フォントなど |
| JavaScript | 静的に特定できる import、require()、ローカルのデータファイルなど |
JavaScript が実行時に組み立てる URL のように、コードを読むだけでは特定できない参照は、推測で補わない。「静的に解決できない参照」として報告させる。
調査は、足りなくなるたびに繰り返す
- 1起点HTMLから参照をたどる
/scan-file-resourcesを実行する。調査済みのファイルは記録され、同じファイルを二度調べない - 2足りないファイルが報告される参照されているのに手元に無いファイルを、参照元とあわせて
BLOCKEDとして報告する - 3FTPでダウンロードする報告されたパスのファイルを、STG サーバーからダウンロードする。AI はサーバーへ接続しない
- 4同じ起点から、もう一度実行する 繰り返す追加したファイルからさらに参照が見つかることがある。足りないファイルが無くなるまで 2〜4 を繰り返す
- 5完了状態が報告される
COMPLETE/COMPLETE_WITH_NOTES/BLOCKEDのいずれかと、その根拠
Claude Code の画面
この画面が出たら、AI は待機している。次に動くのは人である。
完了状態の読み方
| 状態 | 意味 | 次にすること |
|---|---|---|
COMPLETE | 未調査のローカルファイルが無く、存在しない参照も無い | 5-4 へ進む |
COMPLETE_WITH_NOTES | 外部・動的・対象外の参照はあるが、今回の作業に必要な範囲は揃っている | 注記の内容を読んだうえで 5-4 へ進む |
BLOCKED | 必要なファイルが揃ったと判断できない | 先へ進まない。報告されたファイルをダウンロードして再実行する |
外部リソースの扱い
CDN、Web フォント、外部の JavaScript・CSS は、中身をダウンロードしない。次の情報だけを一覧に残す。
- URL と、参照しているファイル
- リソースの種類
- URL からバージョンが分かる場合はその値
integrity属性の有無- ページの機能にどう関わっているか(想定)
- 中身を確認していない外部依存であること
確認すること
ルールを抽出する
やること:集めたファイルから、このサイトの書き方の決まりを取り出し、ルール文書へ反映する。2件目以降の案件では、既存のルール文書を優先する。
手順
/derive-project-rulesを実行する- 抽出されたルールを、根拠ファイルと確度とあわせて確認する(確度の意味は第3章)
- 「混在」と報告された項目について、どちらを採用するか自分で決める
- 「要確認」と報告された項目を調べる。分からなければ、そこで止めて相談する
- 確認した内容を
docs/ARCHITECTURE.md・docs/DESIGN.md・docs/SPEC.mdへ反映する
抽出されるルールの範囲
| 分類 | 確認項目 |
|---|---|
| 技術標準 | HTML の書き方、使っている CSS の機能、JavaScript の構文レベル、ライブラリ |
| HTML | 意味に応じたタグの使い分け、属性の引用符、インデント、空要素、alt、class・id の付け方 |
| CSS | 命名規則、ファイル分割、単位、詳細度、CSS 変数、レスポンシブの方針、ブレークポイント |
| JavaScript | var・let・const の使い分け、関数の書き方、セミコロン、引用符、DOM 操作、イベント登録 |
| パス | 完全 URL、ルート相対パス、ファイル相対パスの使い分け |
| デザイン | 色、フォント、文字サイズ、余白、UI 部品、PC と SP の表示差 |
| 機能 | 対象ページで現在動いている機能、入力、出力、操作、維持すべき挙動 |
報告の形
ルールには必ず根拠と確度が付く。件数まで出させると、例外の存在に気づける。
## パス規則
- CSS・JavaScript:ルート相対パス
- 画像:HTMLからの相対パス
- 外部ライブラリ:完全URL
根拠:
- ルート相対パス:28件
- ファイル相対パス:4件
- 例外:campaign/index.html
確度:推定
1つのファイルだけの書き方を、サイト全体の決まりと断定しない。判断の材料が足りないときは、同じディレクトリ・同じ機能・同じ種類の代表的なファイルを追加で読ませる。追加で読んだファイルは、今回の変更対象には含めない。
確認すること
実装計画を作り、承認する
やること:依頼内容と資料を解析し、何をどう変えるかの計画を docs/TASK.md にまとめる。この計画を承認するまで、AI はファイルを変更しない。
作業の最初に依頼を解析すると、サイトの実情を知らないまま計画ができる。ファイルが揃い、ルールが分かった後で依頼を読むから、「この依頼は既存の仕様と矛盾している」「この変更は共通部品に影響する」といった問題が実装前に見つかる。
手順
- リソース収集が
COMPLETEであることを確認する - ルール文書が揃っていることを確認する
- 依頼内容と、
refs/フォルダの資料 PDF を指定して/plan-changeを実行する - 参照した PDF のファイル名が一覧化されていることを確認する
- Claude Code からの質問に答える(下記)
- 依頼・資料・ルール文書・既存コードのあいだの矛盾が指摘されているか確認する
- 変更予定ファイル、実装順序、確認方法、リスク、戻し方を確認する
- 問題がなければ承認する。修正が必要なら指摘し、計画を直させる
不明点は、Claude Code が質問する
依頼内容の詳しさは、依頼する人によって大きく違う。「要件・完了条件・不明点・前提・禁止事項がすべて書かれた依頼書」を前提にしない。
Claude Code は、渡された依頼と資料から要件を組み立て、読み取れない点があれば推測せずに質問する。質問に答えることで、依頼が計画へ変わっていく。
たとえば次のような質問が返ってくる。
- 「差し替える画像は PC・SP で同じものですか。別ですか」
- 「変更するのはこのページだけですか。同じ部品を使う3ページも対象ですか」
- 「公開後、旧ページへのリンクは残しますか」
- 「資料の文言と現在の表示が違いますが、どちらが正ですか」
質問がゼロで計画が出てきたら、調べていないか、推測で埋めている。そのまま承認しない。
計画を承認する前に見るところ
承認してよい計画
- 変更するファイルが名前で挙がっている
- 変更しないものが明記されている
- 不明点が質問として出ている
- 共通部品への影響が調べられている
- 確認方法が具体的に書かれている
- 参照した資料のファイル名が挙がっている
差し戻す計画
- 「関連ファイルを適宜修正」で済ませている
- 変更しない範囲が書かれていない
- 質問も不明点も1つもない
- 依頼に無い改善が混ざっている
- 「確認します」としか書かれていない
- 資料を読んだ形跡がない
不明点がゼロの計画は、調べていないか、隠している。
確認すること
実装する
やること:承認した計画の範囲だけを変更する。
計画を承認すると、Claude Code は「このまま実装してよいか」と確認してくる。ここで一度止まるのは、計画を読んで納得したことと、いま実装を始めてよいことが別だからである。公開日が先で、まだ支給データが揃っていない、といった事情はよくある。
承認と同時に「実装して」と伝えた場合は、確認を省いてそのまま実装へ進む。
手順
- Claude Code の確認に「実装してよい」と答える。または承認時に「実装して」と指示する
- 承認済みの
docs/TASK.mdとプロジェクトルールに沿って実装させる - 作業内容別の Skill があれば併用する(画像差し替えなら
/replace-imageなど) - 計画に無いファイルの変更が必要になったら、実装を止めて計画へ戻る
「ついでにここも直したい」と思ったら、それは新しい依頼である。今回の変更に混ぜず、別の課題として記録する。混ぜると、後から差分を見たときに、依頼された変更と自己判断の変更を切り分けられなくなる。
コードと品質をチェックする
やること:STG へ上げる前に、AI と機械で確認できることを済ませる。人が見る差分の確認は、STG での表示確認を終えた 5-9 で行う。
- あなた
- Claude Code
- Playwright・比較ツール
- ①コードの書き方を評価する —
/code-review非推奨の構文、セキュリティ上好ましくない書き方、既存コードとの不一致。修正するかどうかは、あなたが決める。 - ②表示と動作を確認する —
/quality-check構文、リンク切れ、Playwright での表示崩れと機能動作、ページ内テキストの矛盾。実行できた確認とできなかった確認を分けて報告させる。 - ③差分を見る — 比較ツール 5-9 で行う頼んでいない変更が混ざっていないかを、人が1行ずつ見る
① /code-review — コードの質を評価する
差分の要約ではない。書かれているコードそのものの良し悪しを見る。
| 観点 | 検出する例 |
|---|---|
| 非推奨の構文 | var の使用、== と === の混在、グローバル変数への代入、非推奨の HTML 要素・属性 |
| セキュリティ | innerHTML への外部値の代入、eval、インラインのイベントハンドラ、target="_blank" への rel 未指定、機密値のハードコード |
| 一貫性 | 既存コードと違う命名、違うインデント、違うパスの書き方 |
指摘には、ファイル・行・根拠・修正案が付く。自動では直させない。直すかどうかは、既存コードへの影響を見て自分で決める。
結果は docs/CODE-REVIEW.md に書き出される。直さないと判断した指摘は、その理由を報告書の「対応」欄に書く。後から「なぜこの書き方が残っているのか」を自分で問い直したとき、この一行が答えになる。
② /quality-check — 動くかどうかを確認する
Playwright が実際のブラウザを起動し、ページを操作して確かめる。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 構文 | HTML・CSS・JavaScript の記述に誤りがないか |
| リンク切れ | 内部リンク、アンカー、画像、CSS・JS の参照先がすべて存在するか |
| 表示崩れ | PC・SP の各幅で、レイアウトが崩れていないか、要素が重なっていないか |
| 機能動作 | フォーム、タブ、アコーディオン、モーダル、スライダーが動くか。コンソールエラーが出ないか |
| テキストの矛盾 | 日付と曜日の不一致(「11月9日(火)」だが実際は月曜)、期間の前後関係、価格や件数の食い違い、リンクテキストと遷移先の不一致 |
結果は docs/QUALITY-CHECK.md に書き出される。項目ごとに成功・失敗・未実施が並び、未実施にはその理由が付く。/release-check で公開可否を判断するとき、この報告書を見る。
2つの報告書は、案件ごとに同じファイル名で上書きする。日付を付けて増やさない。過去の案件の報告書は読み返さないため、残すと docs/ が読めなくなる。前回の内容を残したい事情があるなら、その案件の docs/TASK.md に要点だけ転記する。
原稿をそのまま貼ると、曜日の書き間違いはそのまま公開される。機械なら確実に見つかる種類の誤りなので、必ずチェックさせる。開催期間の開始日と終了日が逆になっている、料金表の合計が合わない、といった矛盾も同じである。
確認すること
STG へアップロードして表示を確認する
やること:更新版ファイルと依存リソースを STG 環境へアップロードし、実際のブラウザで自分の目で見る。本番環境は変更しない。
/release-checkで、アップロード対象のファイル一覧と注意点を整理させる- FTP クライアントの接続先が STG サーバーであることを確認する
- 依存リソース(CSS・JavaScript・画像)を先にアップロードする
- 最後に更新版ファイル
article_20260901.htmlをアップロードする - 確認 URL を開き、下のチェックリストで確認する
STG サーバー上では、日付付きの更新版ファイルのまま確認する。STG の現行ファイルは変更しない。この更新版ファイルは公開後も STG に残るので、「承認したものと公開したものが一致するか」を後から確かめられる。
STG 確認チェック
案件に応じて、必要な項目を選ぶ。
差分を取り、頼んでいない変更がないか確認する
やること:比較ツールで1行ずつ突き合わせる。この工程だけは、AI に代行させない。
表示と動作が意図どおりであることを先に確かめてから、コードを見る。逆にすると、まだ完成していないコードの差分を細かく読むことになり、二度手間になる。見た目が固まってから、中身に依頼外の変更が混ざっていないかを見る。
比較する組み合わせ
5-2 のファイル命名のおかげで、変更前と変更後が同じフォルダに並んでいる。
| 対象 | 比較元(変更前) | 比較先(変更後) |
|---|---|---|
| HTML | 現行ファイル article.html | 更新版ファイル article_20260901.html |
| CSS・JavaScript | 5-2 で取った控え | 変更後のファイル |
| 画像 | 差し替え前のファイル | 差し替え後のファイル(形式・寸法・容量を比べる) |
WinMerge(Windows)、FileMerge・Kaleidoscope(Mac)、VS Code の「選択項目を比較」など、行単位で差分を色分けできるものであればよい。
差分は2回見る。1回目は「空白・改行の違いを無視する」オプションをオフにして、整形だけの変更が混ざっていないかを見る。2回目はオンにして、実質的な変更だけを読む。オンのまま1回で済ませると、整形による大量の書き換えを見逃す。
差分を見て確認する3点
- 依頼した変更が、すべて差分に現れている — 直したつもりで直っていない箇所がない
- 差分に現れているものが、すべて依頼した変更である — 依頼していない行が変わっていない
- 意図しない書き換えが無い — 下の一覧に当てはまる変更が混ざっていない
Claude Code が、頼んでいないのに変えやすい箇所
いずれも「悪意」ではなく、コードを整えようとした結果として起きる。差分には必ず現れるので、上の2回見る手順で検出できる。
- インデント、改行位置、行末の空白の整形
- 属性の並び順、引用符の書き換え(
'→") - 閉じタグの補完・省略、空要素の
/>の付け外し - 改行コードの変換(CRLF → LF)、文字コードの変換
- 既存のコメントの削除、コメントアウトされたコードの整理
- 「使われていない」と判断した CSS ルールや JavaScript の削除
- 相対パスと絶対パスの相互変換
- class 名の整理・統合、命名の言い換え
- 全角と半角の統一、記号の正規化(
"→”など) - 依頼と無関係な箇所で見つけた不具合の「ついで直し」
「見た目は変わらないから残しておく」としない。今回それを許すと、次回の差分にその行が混ざったままになり、どこからが今回の変更なのかが読めなくなる。整形が必要なら、別の依頼として切り出す。
「〇〇を変更しました」という説明は、実際の変更と一致しているとは限らない。変更したことを報告し忘れる場合も、変更していないのに報告する場合もある。判断の根拠は、AI の言葉ではなく比較ツールが出した差分に置く。
確認すること
確認を依頼し、修正に対応する
やること:依頼元へ確認を依頼し、指摘があれば直す。
確認依頼に添える内容
AI に下書きさせてもよいが、実際の変更内容と一致していることを自分で確認してから送る。
- 依頼番号、対象ページと確認 URL
- 修正内容の要約
- 特に確認してほしい箇所
- 変更対象外としたもの
- 既知の制約や注意点
- 確認した端末とブラウザ
- 公開対象ファイル
指摘の受け取り方
口頭やチャットの箇条書きではなく、画面に印を付けた資料として受け取る。文章だけの指摘は、どこを指しているかで解釈が割れる。
- 1依頼元が Google スライドなどに指摘をまとめるスクリーンショットに矢印と番号を付け、修正内容を書き添えてもらう
- 2PDF としてダウンロードする
refs/フォルダへ置く - 3PDF を Claude Code へ渡す指摘を要件に変換し、対象箇所と影響範囲を整理させる。不明点は質問させる
- 4必要な箇所だけ修正する指摘と関係のない改善を同時に行わない
- 55-7 から順にやり直す 省略しないコード評価 → 品質チェック → STGへアップロード → 表示確認 → 差分確認
指摘と直接関係のない改善を同時に行わない。別の問題を見つけたら、今回の修正に混ぜず、別課題として記録する。
公開日前日にリネームする
やること:ローカルでファイル名を入れ替える。ローカルの操作だけで、サーバーのファイルは変更しない。
- 1
article.html→article_bk_20260901.html現行ファイルを、復元用ファイルへ退避する - 2
article_20260901.html→article.html順序を守る更新版ファイルを、公開するファイル名へ変更する。1 を先にしないと現行ファイルが消える - 3リネーム後の
article.htmlをブラウザで開く表示、リンク、機能を確認する - 4公開対象のファイルを一覧にするCSS・JavaScript・画像も変更した場合は、それらも含める
リネームするのはローカルのファイルだけである。STG サーバーには、5-8 でアップロードした article_20260901.html がそのまま残る。公開後に「承認したものと公開したものが一致するか」を確かめたくなったら、本番の article.html と STG の article_20260901.html を比較すればよい。
公開日前日チェック
公開当日にアップロードし、確認する
やること:前日にリネームしたローカルの article.html を、本番サーバーへアップロードする。
- 1CSS・JavaScript・画像を先にアップロードする依存リソースを先に反映する
- 2HTML を最後にアップロードする 順序が重要HTML を先に上げると、まだ存在しない CSS や画像を参照して表示が壊れる
- 3対象 URL を開いて確認する公開後確認のチェックリストを実行する。問題がなければ、ここで完了
アップロードの前に確認すること
- 今日が公開予定日であることを確認する
- 公開の承認が取り消されていないことを確認する
- 本番サーバー、リモートパス、アップロード元のローカルパスを確認する
article_bk_20260901.html は戻し用のローカルファイルとして手元に置く。本番へ上げる HTML は、リネーム後の article.html だけ。
公開前チェック
公開後確認
戻し方(ロールバック)
article_bk_20260901.htmlの内容を、ローカルのarticle.htmlへコピーして上書きする- 依存リソースを先に、
article.htmlを最後に、本番へ再アップロードする - 対象 URL を開き、公開前の状態に戻っていることを確認する
CSS・JavaScript・画像も同時に変更していた場合、HTML だけを戻すと、新しいリソースを古い HTML が参照して不整合が起きる。公開対象一式について、変更前のファイルと戻す順番を、公開前に用意しておく。
完了とみなす条件
次の状態になった時点で、その案件を完了とする。
- 依頼書の要件と完了条件を満たしている
- 変更したファイルと、変更した理由を説明できる
- 依頼されていない変更が含まれていない
- 必要なチェックと表示確認が完了している
- 公開の承認が取れている
- 本番反映と公開後確認が完了している
自動化の広げ方
一度に本番公開まで自動化しない。実績と安全性を確認しながら、段階的に広げる。
- Lv1調査・計画・実装・コード評価・品質チェックを AI が行う。実装計画、差分、STG・本番への反映は人が判断する。本書はここを扱う。
- Lv2STG へ上げる手順を標準化する。STG 実行前と本番反映前に承認する
- Lv3STG への反映と、その後のチェックを自動化する。STG の結果と本番反映前に承認する
- Lv4公開対象と公開コマンドを自動生成する。本番実行前に明示的な承認を置く
- Lv5承認ゲート、ログ、戻し手順を備えたうえで本番反映を自動化する。公開可否の最終判断は人が持つ
次の段階へ進んでよい条件
次がすべて揃った工程から、承認付きの実行を自動実行へ移す。
- 手順と入力の形式が安定している
- 成功・失敗を機械的に判定できる
- 失敗しても影響範囲が限定される
- 簡単に元へ戻せる
- 例外が起きたときに、安全に停止できる
どの段階でも、人が続ける工程
差分の確認(5-9)は、自動化の対象にしない。頼んだとおりに変わっているかを判断するのは、依頼を出した本人にしかできない。AI に差分を要約させた時点で、この工程は確認ではなく報告の受け取りに変わる。
テンプレートとチェックリスト
コピーして使う。チェックリストは、このページを印刷しても使える(背景は白で印刷される)。
制作依頼テンプレート
# 依頼概要
## 対象
- 依頼番号:
- 対象サイト:
- 対象URL:
- 対象ファイル名:
- 対象環境:
- 公開予定日:
- FTPクライアント:
- STGリモートパス:
- 本番リモートパス:
- ローカル作業パス:
- 更新版ファイル:
## 変更内容
## 変更しないもの
## 完了条件
## 支給データ・参考資料
## 確認端末・ブラウザ
## 期限
## 補足・注意事項
docs/TASK.md テンプレート
# TASK — [依頼番号] [対象ページ]
## 依頼
- 依頼内容:
- 参照した資料(PDF等):
- 公開予定日:
- 対象ファイル名:
- 更新版ファイル:
- STGリモートパス:
- 本番リモートパス:
## 要件と完了条件
-
## 変更しないもの・禁止事項
-
## Claude Code からの質問と回答
| 質問 | 回答 |
| --- | --- |
## 適用するルール
- ARCHITECTURE.md から:
- DESIGN.md から:
- SPEC.md から:
- デフォルトを適用した箇所:
## 変更予定ファイル
| ファイル | 変更内容 | 理由 |
| --- | --- | --- |
## 実装手順
1.
## リスクと影響範囲
-
## 確認方法
-
## 公開順序と戻し方
- アップロード順:
- 復元用ファイル:
- 戻す手順:
## 承認
- 計画承認日:
- 公開承認日:
docs/CODE-REVIEW.md の書式
/code-review が生成する。「対応」欄はあなたが埋める。
# コード評価 — [依頼番号] [対象ページ]
- 実行日:
- 対象ファイル:
## 指摘
| # | ファイル:行 | 分類 | 内容 | 修正案 | 対応 |
| --- | --- | --- | --- | --- | --- |
| 1 | | 非推奨の構文 / セキュリティ / 一貫性 | | | する / しない(理由) |
## 対応しないと判断した指摘
-
## 所見
-
docs/QUALITY-CHECK.md の書式
/quality-check が生成する。未実施の項目には必ず理由を書かせる。
# 品質チェック — [依頼番号] [対象ページ]
- 実行日:
- 対象ファイル:
- 確認した画面幅:
## 結果
| 項目 | 結果 | 内容 |
| --- | --- | --- |
| 構文 | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| リンク切れ | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| 表示崩れ(PC) | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| 表示崩れ(SP) | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| 機能動作 | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| コンソールエラー | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
| テキストの矛盾 | 成功 / 失敗 / 未実施 | |
## 失敗した項目の詳細
-
## 未実施の項目とその理由
-
依頼プロンプトの書き方
Claude Code へ渡す、今回だけの指示。完了条件を必ず添える。
/news/article.html の「お問い合わせ」ボタンを
「資料請求」に変更してください。
完了条件:
- PCとSPの表示文言が「資料請求」になっている
- リンク先と見た目は変更しない
- 同じ部品を使用する他ページへの影響を確認する
不明な点があれば、推測せず質問してください。
どこに書くかの早見表
| 内容 | 書く場所 |
|---|---|
| プロジェクト全体で常に守ること | CLAUDE.md |
| 技術・デザイン・機能の詳細なルール | docs/ARCHITECTURE.md、docs/DESIGN.md、docs/SPEC.md |
| コード評価・品質チェックの結果 | docs/CODE-REVIEW.md、docs/QUALITY-CHECK.md(AIが生成) |
| 複数の案件で繰り返す手順 | Skill |
| 今回だけの要件 | 依頼プロンプト、docs/TASK.md |
| 今回の修正指示を補足する資料 | refs/ フォルダの PDF |
| サーバーの接続先・公開方法・連絡先 | 社内の運用管理台帳(AI に見せない場所) |
1案件を通した確認シート
各ステップの終わりに1つずつ埋める。すべて埋まったら完了。
うまくいかないときは
症状から探す
| 起きたこと | まず見るところ |
|---|---|
| AI が、依頼していない箇所まで変更した | CLAUDE.md に「変更してよいのは、変更する行だけ」の節があるか。計画(5-5)に変更しないものが書かれていたか |
| 差分が大量に出て、どこが今回の変更か分からない | 整形による書き換えが混ざっている。「空白の違いを無視する」を切り替えて2回見る(5-9)。整形分は元に戻す |
| 直したはずのない箇所の表示が変わった | 頼んでいない書き換えが入っている。5-9 の一覧と照らし、該当する変更を戻す |
| 実装後に、関連ページの表示が崩れた | 共通の CSS や部品を変更していないか。5-5 の計画で影響範囲を調べていたか |
| STG では正しいのに、本番で表示が崩れた | 依存リソースを先にアップロードしたか(5-12)。キャッシュの影響ではないか |
| 公開したら、別の人の変更が消えた | 作業開始時(5-2)に、心当たりのない未来日付のファイルを見落としていないか |
| AI が「できました」と言うが、直っていない | 要約ではなく比較ツールで差分を見たか(5-9)。完了条件が判定できる形になっていたか(5-1) |
| 日付と曜日がずれたまま公開してしまった | /quality-check を実行したか(5-7)。テキストの矛盾は機械で見つかる種類の誤りである |
| 調査が終わらない、同じ報告が繰り返される | リソース収集が BLOCKED のまま先へ進んでいないか(5-3) |
| どのファイルを直せばよいか分からない | 作業を止める条件に当てはまっている(4章)。推測で進めない |
| リネームしたら現行ファイルが消えた | 手順の1と2を逆にしている(5-11)。先に現行ファイルを復元用へ退避する |
| 公開したものが承認したものと同じか不安 | 本番の article.html と、STG に残った article_20260901.html を比較ツールで突き合わせる |
手順とルールの直し方
実際の作業で起きた迷い・失敗・手戻りを記録し、原因に応じて更新先を決める。記憶ではなく、文書を直す。
| 分かったこと | 更新する場所 |
|---|---|
| プロジェクト全体で常に守るべきルール | CLAUDE.md |
| 繰り返し起きる作業手順や確認漏れ | 該当する Skill |
| 今回だけの例外や固有の要件 | 依頼書、docs/TASK.md |
| 人と AI の担当や、承認の位置の問題 | 本書 |
| サーバー環境や公開方法に関すること | 社内の運用管理台帳 |
想定だけで Skill を増やさない。実際に2回以上繰り返した作業から順に作る。
本書の更新
- 手順を変えたとき、または作業を止める条件が増えたときに改訂する
- 改訂したら版と日付を更新し、変更点を1行で残す
- ツールの画面や名称が変わっただけの場合は、本書を変えず、Skill 側で吸収する