AI駆動
サイト運用マニュアル
Web担当者のための内製化ガイド/スライド版
7つの章で、
依頼から公開までを扱う
- ①前提とゴール — 何ができたら達成なのか
- ②役割 — 一人で三役を担う
- ③全体像と準備 — 環境とルール文書
- ④制作の手順 — 依頼から実装、コードと品質のチェックまで
- ⑤確認 — STG表示確認、差分確認、指摘への対応
- ⑥公開 — 前日のリネーム作業から、戻し方まで
- ⑦安全と、広げ方
前提とゴール
何ができたら達成なのかを、先に決める
AI駆動サイト運用マニュアル 03AIを導入したことは、
達成ではない
次の5つが実現されているかで判断する
- 更新の手順が固定され、担当者が変わっても同じ品質で運用できる
- 公開前に、変えた内容と変えていない内容を自分の言葉で説明できる
- 問題が起きたとき、公開前の状態へ確実に戻せる
- 認証情報や個人情報を AI に渡さない運用が守られている
- 迷ったときに手を止める基準が、頭の中ではなくマニュアルにある
標準化するのは、
実装ではなく思考プロセス
Claude Code に実装を丸投げするのではない。調査・計画・実装・チェック・確認という順序を固定する。
順序が固定されていれば、担当者が判断を迷う場面が減り、見落としが公開前に見つかる。
まず静的サイトで、
運用を確立する
対象とする
- 静的 HTML サイト
- FTP/FTPS/SFTP での更新
- 文言・画像・リンク・見た目の修正
- エリアの追加と削除、SP表示の調整
対象としない
- WordPress などの CMS
- Git/GitHub でのデプロイ
- サイト全体のリニューアル
- 会員向けページ、サーバー移転
CMS は情報がコード・DB・設定に分散し、修正対象を取り違えやすい。
対象ファイルは、
index.html とは限らない
| ファイル名の例 | 想定される用途 |
|---|---|
| index.html | ディレクトリのトップページ |
| article.html | 記事・詳細ページ |
| 20260901.html | 日付をファイル名に持つお知らせページ |
| campaign_autumn.html | 期間限定ページ |
以降は article.html で例示する。実際のファイル名に読み替える。
役割
一人で三役を担う、その構造を理解する
AI駆動サイト運用マニュアル 08役割は消えない。切り替わる
- 役割A依頼する自分何を変え、何を変えないか、どうなったら完成かを、始める前に文章にする
- 役割B実装する自分依頼書だけを見て作業する。やり直したくなったら実装を止め、役割Aへ戻る
- 役割C承認する自分チェックリストを通す依頼書とチェックリストだけを持って完成物を見る。原則は日を分けるが、緊急なら当日でもよい。日を分けないときこそ、チェックリストを飛ばさない
役割Aの依頼書が、役割Cの採点基準になる。だから先に書く。
同じ人が三度見ても、
同じ見落としをする
観点と道具を変える
コードの書き方は AI に、表示と動作は Playwright に、差分は自分が比較ツールで。同じ観点で3回見ない
現行ファイルを触らない
公開日前日のリネームまで、現行ファイルは手つかずで残る。だからいつでも戻せる
ファイル名が知らせる
更新版ファイルには公開予定日が入る。心当たりのない日付があれば、誰かが作業中と分かる
観点を変えること。戻せること。この2つで他人の目を代替する。
ファイル一覧が、
そのまま作業状況になる
そのまま進めると、公開時にお互いの変更を上書きで消し合う。作業を止めて確認する。
差分の説明は、させない
| 担当 | やること | 判断すること |
|---|---|---|
| あなた | 要件の確定、AIへの指示、差分の確認、アップロード、公開の承認 | すべて |
| Claude Code | 調査、ルール抽出、計画、実装、コード評価、Playwrightでの表示・動作確認 | しない |
| 道具 | 比較ツールでの差分取得、FTPでのダウンロードとアップロード | しない |
変更内容の判断は、AIの言葉ではなく比較ツールの差分で行う。
全体像と準備
サイトごとに一度だけ行う
AI駆動サイト運用マニュアル 13止まる地点が2つある
- Ⅰ準備依頼を確定 → STGからダウンロード → 更新版ファイル article_20260901.html を作る
- Ⅱ調査と計画参照ファイルを集める → ルールを抽出 → 依頼を解析して実装計画を作る
- ◆計画の承認止まる承認するまで、AIはファイルを変更しない
- Ⅲ実装と確認実装 → コード評価 → Playwrightで動作確認 → STGへアップロード → 表示確認 → 差分確認
- ◆公開の承認止まる完了条件を満たし、頼んでいない変更が無いことを確認する
- Ⅳ公開前日にローカルでリネーム → 当日アップロード → 公開後確認
ここを飛ばすと、事故は公開後にしか見つからない。
サイトごとに、
作業フォルダを1つ作る
同じ注意を、
毎回プロンプトへ書かない
| ファイル | 書くこと | 更新の頻度 |
|---|---|---|
| CLAUDE.md | 常に守る入口のルール、禁止事項、承認が必要な地点 | ほぼ変わらない |
| docs/ARCHITECTURE.md | 技術標準、構成、命名、パス、記述の規則 | 改修のとき |
| docs/DESIGN.md | 色、フォント、余白、UI部品、ブレークポイント | デザイン変更時 |
| docs/SPEC.md | 確認済み要件、現在の挙動、判断できない仕様 | 機能追加時 |
| docs/TASK.md | 今回の依頼、計画、変更予定ファイル、戻し方 | 案件ごと |
| CODE-REVIEW.md QUALITY-CHECK.md | コード評価と品質チェックの報告書 | AIが生成・上書き |
用意する道具
Claude Code
調査・計画・実装・コード評価・品質チェック
FTPクライアント
WinSCP、FileZilla など。サーバー接続は必ず人が行う
ブラウザ
STGでの表示確認。対象ブラウザをすべて用意する
差分比較ツール
WinMerge、FileMerge、VS Code の比較機能。⑤章で必ず使う
Playwright
Claude Code が実際のブラウザを操作して表示と動作を確認する。導入だけは制作会社に依頼してもよい
制作の手順
依頼の確定から、コードと品質のチェックまで
AI駆動サイト運用マニュアル 1812のステップを、順に行う
- 5-1 依頼を確定する
- 5-2 ダウンロードし、更新版ファイルを作る
- 5-3 参照ファイルを集める
- 5-4 ルールを抽出する
- 5-5 実装計画を作り、承認する
- 5-6 実装する
- 5-7 コードと品質をチェックする
- 5-8 STGへ上げて表示を確認する
- 5-9 差分を取り、頼んでいない変更がないか確認する
- 5-10 確認を依頼し、修正に対応する
- 5-11 公開日前日にリネームする
- 5-12 公開当日にアップロードし、確認する
ステップを飛ばしたくなったら、前のステップが終わっていない。
完了条件は、
見て判定できる形で書く
判定できる
- PCとSPの表示文言が「資料請求」になっている
- リンク先と見た目は変更されていない
- 同じ部品を使う他ページに影響がない
判定できない
- きれいに直す
- 違和感がないようにする
- いい感じにしておく
この依頼書が、公開を承認するときの採点基準になる。
ファイルは3種類。
役割を混ぜない
| 呼び名 | ファイル名 | 役割 |
|---|---|---|
| 現行ファイル | article.html | 公開日前日のリネームまで編集しない |
| 更新版ファイル | article_20260901.html | 公開予定日を名前に持つ。編集するのはこれ |
| 復元用ファイル | article_bk_20260901.html | 前日のリネームで現行ファイルを退避したもの |
対象が 20260901.html なら 20260901_20260915.html となる。
前日のリネームで、
中身と名前が入れ替わる
ファイルは常に2つ。名前を入れ替えるだけで公開準備が終わる。
「全ファイルが揃った」の意味
サイト内の全ファイルではない。起点HTMLから参照をたどれるローカルファイルを、すべて調べ終えた状態。
- HTML は
link、script、img、srcsetなどをたどる - CSS は
@import、url()の先をたどる - 外部CDNは中身をダウンロードせず、一覧に記録するだけにする
足りないと、AIはここで止まる
AIはサーバーへ接続しない。次に動くのは人である。
完了状態は3つ
| 状態 | 意味 | 次にすること |
|---|---|---|
| COMPLETE | 未調査のローカルファイルが無く、存在しない参照も無い | 5-4 へ進む |
| COMPLETE _WITH_NOTES | 外部・動的・対象外の参照はあるが、今回必要な範囲は揃っている | 注記を読んで 5-4 へ |
| BLOCKED | 必要なファイルが揃ったと判断できない | 先へ進まない。ダウンロードして再実行 |
追加ファイルだけを調べ直さない。毎回、起点から全体をたどり直す。
抽出したルールには、
必ず確度が付く
| 確度 | 意味 | 扱い |
|---|---|---|
| 確定 | 設定ファイルや資料に明記されている | そのまま従う |
| 推定 | 複数の関連ファイルで一貫している | 従う。例外の有無を確認 |
| 混在 | 複数の書き方があり、1つに決められない | 自分で決めて文書へ書く |
| デフォルト | コードから特定できず、標準ルールを当てた | 変更する範囲だけに適用 |
| 要確認 | 環境や要件が分からないと決められない | 止める。推測で進めない |
不明点は、
Claude Code が質問する
依頼の詳しさは、依頼する人によって大きく違う。整った依頼書を前提にしない。読み取れない点は、推測せず質問させる。
- 「差し替える画像は PC・SP で同じものですか。別ですか」
- 「変更するのはこのページだけですか。同じ部品を使う3ページも対象ですか」
- 「公開後、旧ページへのリンクは残しますか」
- 「資料の文言と現在の表示が違いますが、どちらが正ですか」
質問がゼロなら、調べていないか推測で埋めている。
不明点がゼロの計画は、
調べていない
承認してよい計画
- 変更するファイルが名前で挙がっている
- 変更しないものが明記されている
- 不明点が質問として出ている
- 共通部品への影響が調べられている
- 戻し方が書かれている
差し戻す計画
- 「関連ファイルを適宜修正」で済ませている
- 変更しない範囲が書かれていない
- 質問も不明点も1つもない
- 依頼に無い改善が混ざっている
- 資料を読んだ形跡がない
承認するまで、Claude Code はファイルを変更しない。
承認しても、
すぐには実装が始まらない
- 1計画を承認する
- 2Claude Code が「このまま実装してよいか」と確認する一度止まる計画に納得したことと、いま実装を始めてよいことは別。支給データがまだ揃っていない、といった事情はよくある
- 3「実装して」と答えると、実装が始まる承認と同時に指示した場合は、確認を省いてそのまま進む
実装専用のSkillは作らない。承認済みの docs/TASK.md がそのまま実装の入力になる。
/code-review は、
コードの質を見る
| 観点 | 検出する例 |
|---|---|
| 非推奨の構文 | var の使用、== と === の混在、グローバル変数への代入、非推奨のHTML要素・属性 |
| セキュリティ | innerHTML への外部値の代入、eval、インラインのイベントハンドラ、target="_blank" への rel 未指定、機密値のハードコード |
| 一貫性 | 既存コードと違う命名、違うインデント、違うパスの書き方 |
結果は docs/CODE-REVIEW.md へ。直すかは自分で決め、理由を書く。
/quality-check は、
Playwright で実際に動かす
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 構文 | HTML・CSS・JavaScript の記述に誤りがないか |
| リンク切れ | 内部リンク、アンカー、画像、CSS・JSの参照先が存在するか |
| 表示崩れ | PC・SPの各幅で、レイアウトが崩れていないか |
| 機能動作 | フォーム、タブ、アコーディオン、モーダル、スライダー、コンソールエラー |
| テキストの矛盾 | 日付と曜日の不一致、期間の前後関係、価格や件数の食い違い |
結果は docs/QUALITY-CHECK.md へ。未実施の項目には理由が付く。
チェック結果は、
ファイルとして残る
何を直さなかったか
- 指摘(ファイル・行・分類・根拠・修正案)
- 対応する/しない の判断
- しない場合はその理由
何を確認できていないか
- 項目ごとの 成功/失敗/未実施
- 失敗した項目の詳細
- 未実施の項目とその理由
どちらも案件ごとに上書きする。日付を付けて増やさない。
公開の可否は、この2つの「残っているもの」で判断する。
確認
表示を見てから、頼んでいない変更を探す
AI駆動サイト運用マニュアル 33コードではなく、画面を見る
- 依頼された文言・画像・リンク・機能が反映されている
- 確認しているページが、公開予定日の更新版ファイルである
- PC・SP・対象ブラウザすべてで確認した
- 共通部品を使う関連ページに問題がない
- リンク切れとコンソールエラーがない
STGに上げるのは更新版ファイル。現行ファイルは変更しない。
差分を見るのは、
STG確認の「後」
見た目が固まってから、中身に依頼外の変更が混ざっていないかを見る。
逆にすると、まだ完成していないコードの差分を細かく読むことになり、二度手間になる。表示と動作が意図どおりであることを先に確かめる。
変更前と変更後は、
同じフォルダに並んでいる
| 対象 | 比較元(変更前) | 比較先(変更後) |
|---|---|---|
| HTML | article.html | article_20260901.html |
| CSS・JS | ダウンロード直後に取った控え | 変更後のファイル |
| 画像 | 差し替え前 | 差し替え後(形式・寸法・容量) |
CSS・JSは、ダウンロード直後に控えを取らないと比較できない。
差分は、2回見る
- 1回目「空白の違いを無視する」をオフにして見るインデント・改行・行末の空白など、整形だけの書き換えが混ざっていないかを検出する
- 2回目オンにして見る整形を除いた、実質的な変更だけを読む
オンのまま1回で済ませると、大量の整形による書き換えを見逃す。
Claude Code が、
頼んでいないのに変えやすい箇所
- インデント・改行・行末の空白
- 改行コード(CRLF→LF)
- 文字コード
- 属性の並び順、引用符
- 閉じタグの補完・省略
- class名、相対/絶対パス
- 既存のコメント
- 「使われていない」と判断したCSS・JS
- 無関係な不具合の「ついで直し」
- 全角・半角の統一、記号の正規化
悪意ではなく、コードを整えようとした結果として起きる。
1件でも見つけたら、戻す
「見た目は変わらないから残しておく」としない。
今回それを許すと、次回の差分にその行が混ざったままになり、どこからが今回の変更なのかが読めなくなる。
指摘は、
画面に印を付けた資料で受け取る
- 1依頼元が Google スライドなどに指摘をまとめるスクリーンショットに矢印と番号を付け、修正内容を書き添えてもらう
- 2PDF としてダウンロードし、refs/ へ置く
- 3PDF を Claude Code へ渡す指摘を要件に変換させる。不明点は質問させる
- 45-7 から順にやり直す省略しないコード評価 → 品質チェック → STGへアップロード → 表示確認 → 差分確認
修正は小さくても、確認の手順は初回と同じだけ通す。
公開
前日のリネーム作業から、戻し方まで
AI駆動サイト運用マニュアル 41ローカルで、
ファイル名を入れ替える
- 1article.html → article_bk_20260901.html現行ファイルを、復元用ファイルへ退避する
- 2article_20260901.html → article.html順序を守る1 を先にしないと、退避する前に現行ファイルが上書きされる
- 3リネーム後の article.html をブラウザで開く表示、リンク、機能を確認する
- 4公開対象のファイルを一覧にする
サーバーのファイルは触らない。ローカルの操作だけで終わる。
STGには、
日付付きファイルが残る
公開したものが、承認したものと同じか。あとから確かめられる。
リネームするのはローカルのファイルだけである。STGサーバーには、5-8 でアップロードした article_20260901.html がそのまま残る。
確かめたくなったら、本番の article.html と STG の article_20260901.html を比較ツールで突き合わせる。
依存リソースが先、
HTMLが最後
- 1CSS・JavaScript・画像を先にアップロードする
- 2HTML を最後にアップロードする順序が重要HTMLを先に上げると、まだ存在しないCSSや画像を参照して表示が壊れる
- 3対象URLを開いて確認する表示、機能、コンソールエラー、キャッシュの影響。問題がなければ、ここで完了
本番へ上げるHTMLは、リネーム後の article.html だけ。
HTMLだけ戻すと、
壊れることがある
- article_bk_20260901.html の内容を、ローカルの article.html へコピーして上書きする
- 依存リソースを先に、article.html を最後に、本番へ再アップロードする
- 対象URLを開き、公開前の状態に戻っていることを確認する
CSS・JS・画像も変更していた場合、変更前ファイルと戻す順番を公開前に用意しておく。
安全と、広げ方
速さより優先されるもの
AI駆動サイト運用マニュアル 46どこにも書かない情報
コード・CLAUDE.md・Skill・TASK.md・AIへの指示文、そのいずれにも書かない
- FTP/FTPS/SFTP の接続先、ユーザー名、パスワード、秘密鍵
- CMSや管理画面のログイン情報
- APIキー、アクセストークン、
.envの中身 - 顧客・従業員の個人情報
- 契約書、見積書、未公開の情報
誤って渡したら、削除では終わらない。失効させて再発行する。
手を止めて確認する、
5つの状況
- 1対象が定まらない対象ページ・ファイル・リモートパスを1つに特定できない。パスの解決基準が分からない
- 2ファイルが揃っていない参照先が見つからない。リソース収集が BLOCKED で終わった
- 3情報が食い違っている公開日とファイル名がずれている。心当たりのない未来日付のファイルがある。依頼と仕様が矛盾する
- 4影響が想定を超えた計画外のファイルの変更が必要。共通部品への影響が判明。既存機能を壊す可能性が高い
- 5安全に関わる機密情報を検出した。承認が必要な操作へ進む。原因不明のエラーが出た
止まる数分より、公開後の対応のほうが桁違いに長い。
一度に、
本番公開まで自動化しない
- Lv1調査・計画・実装・コード評価・品質チェックをAIが行う。計画と差分と反映は人が判断する ← 本書の範囲
- Lv2STGへ上げる手順を標準化する
- Lv3STGへの反映とチェックを自動化する
- Lv4公開対象と公開コマンドを自動生成する
- Lv5承認ゲート・ログ・戻し手順を備えて本番反映を自動化する
差分の確認だけは、どの段階でも人が続ける工程として残す。
変更した理由を
説明できる状態で終える
依頼された変更がすべて反映され、依頼されていない変更が含まれず、戻し方が用意されている。この3つが揃った時点で完了とする。
AI駆動サイト運用マニュアル 50